スフィンクスの年齢は?
スフィンクスの年齢にかんする論争は、厳密に言えばすでに1973年にはじまっています。
そのころアメリカの著述家ジョン・アンソニー・ウェストは、フランスの数学者R・A・シュワレ・ド・リュビックの『人間のなかの神殿』という題の著書を読んで、ある箇所にぶつかり、それがウェストの人生を変えることになりました。
ド・リュビックは、スフィンクスの体に見られる深い垂直の亀裂と波形の浸食について記したあとで、つぎのように述べています。
「デルタ(北エジプト)の起源が沖積によるものであることは、ほとんど疑う余地がない。
・・・膨大な水量がエジプトを侵す前に、高度に発展した文明が存在していたに違いない。
これは、つぎのことを推察させる。
すなわち、スフィンクスはすでにこの大災害の前に西ギザ台地の岩石から彫り抜かれていた。
スフィンクスのライオンの体は、頭部をのぞいて、水による浸食のまぎれもない跡をとどめている」。
しかし、スフィンクスの浸食現象が水によってひきおこされたのだとすれば、一定の気候条件を前提としなければならず、そんな気候はすでにカフラーの治世の数千年前からエジプトでは見られなくなっています。
ところが学界の通説では、この時代にはまだ高度に発達した文明はありえないとされています。
エジプトには原始的な種族が住んでいただけで、石器時代の人類にスフィンクスのような像をつくる知識も技能もない。
まして、最低でも重さ150トンはある切り石を積み重ねた2つの神殿など論外だ・・・と。
いずれにせよエジプト学者は、水による浸食という考えをしりぞけました。
かれらの見解によれば、スフィンクスの表面の亀裂は、ギザにある他のあらゆる古代の記念物と同じく、風と砂によるものなのです。